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霜月(しもつき)11月の法話

   如来大悲の恩徳は  身を粉にしても報ずべし  
   師主知識の恩徳も  ほねをくだきても謝すべし

                         『親鸞聖人著;正像末和讃 五十九』   


11月は「報恩講(ほうおんこう)」の季節です。
「報恩講」とは浄土真宗の開祖、親鸞聖人のご命日法要のことを言います。

親鸞聖人は1263年1月16日に90歳で入寂されましたが、旧暦では1262年
(弘長2年)11月28日に当たる為、昔から11月にお勤めするところが多いようです。
本願寺築地別院を始め、各お寺でもこの時期「報恩講法要」をお勤めいたします。
(ご本山、西本願寺では「ご正忌報恩講」といい1月16日までの一週間勤められます)

さて、親鸞聖人が生きていらした800年前の平均寿命は36歳位と統計がありますので、当時としては大変なご長寿でいらっしゃいました。
親鸞聖人は、公家、日野有範(ありのり)公の長男として生まれましたが、父の失脚にともない9歳で得度し仏門に入ります。

親鸞聖人のご生涯を略歴で表してみますと・・・・

  29歳で20年に及ぶ自力の修行を捨て源空(法然)聖人の専修念仏に帰す
  35歳で念仏弾圧により越後へ流罪 →赦免の後関東一円で伝道活動
  52歳で『教行信証』を草稿(75歳くらいまで手を加えられている)
  60歳で京都へ帰洛、以後執筆生活に入る。
      75歳『教行信証』完成
      76歳『浄土和讃』『高僧和讃』
      ・
      ・
      86歳『正像末和讃』

注目されるべき所は京都に帰られてからの精力的な創作活動でしょう。
当時の平均寿命を遥かに越えられてから、沢山の書物を執筆されました。
電気のない時代、燈芯の薄暗い光の中、ただ、ひたすらにお念仏のみ教えを残そうと筆を執られた親鸞聖人のお姿が浮かんで参ります。

そして、84歳の時、自分の後継者として信じ、期待して関東の地に送った子息、善鸞(ぜんらん)さまの義絶・・・・親鸞聖人が「佳き人」法然聖人から受け継がれた他力念仏の教えを「しぼめる花」に譬え、夜ごと自分だけが父から真実を相伝されたと門弟達に嘘をついた息子を勘当されたのです。

それ程までにして、親鸞聖人が護り伝えたかった真実・・・・
それは、この「私」こそを救いの目当てに如来となられた阿弥陀如来の大慈悲への
仏徳(ぶっとん)報謝のお心以外にはなかったことでしょう。

その頃、詠まれた和讃に次のようなものがあります。
    
    小慈小悲もなき身にて  有情利益はおもふまじ
    如来の願船いまさずは  苦海をいかでかわたるべき

慈悲には大慈悲、中慈悲、小慈悲とあります。
阿弥陀如来の十方衆生、一人も漏らさず救うという大慈悲に比べて、私達人間の
持ち合わせている慈悲は小慈悲・・・自分の子どもや家族、親しい人に限定される慈悲です。私達は自分の子どものように他人の子どもを愛しむことはなかなかできません。反対にわが子可愛さに鬼にも邪にもなるのが「私」の姿です。

中慈悲というのはきっと自分の命をかけて多くの人の為に尽くされている方々の事をいうのでしょう・・・戦地や貧困の地で尽力されている人。また寝る暇を惜しんで自分以外の「いのち」の為に働いている方もそうかもしれませんね。でもこれにも条件が存在します。無条件にと言うわけにはいきません。

親鸞聖人は「小慈小悲もなき身にて・・」とお心を吐露されています。
ご自分の大切な信じていた息子を義絶しなければならなかった、せつない親心、
悲しみがにじみ出ているお言葉だと思います。

そして、こんな自分にどうして有情の人々を救うことができるのだろうか?
ただ、阿弥陀如来の他力のハタラキにお任せしてこそ、この苦しみの世界からさとりの世界へ渡る事ができるのだ・・・と味あわれていらっしゃるのです。

親鸞聖人がご自身の生涯を通して護り、伝えて下さった他力念仏のみ教え。
今、この「私」がお念仏のみ教えに出遇い、阿弥陀如来の大慈悲の中で力強く日暮らしさせて頂けるのは、すべて親鸞聖人の90年に渡るお念仏弘通に捧げられたご生涯のお陰でございましょう。
そのお姿を偲び、報恩感謝の心でお勤めするのが、宗祖のご命日法要「報恩講」
でございます。

有縁の皆様、どうぞ「報恩講」へご参詣下さい。

    
   ☆光善寺「報恩講法要」 11月23日(祝)正午より
           法話:北海道帯広市 光心寺住職
              元岐阜聖徳学園大学助教授
                          桃井 信之 師

   ☆本願寺築地別院「報恩講法要」11月11日〜16日まで   
         
     11月16日(日)午前04:00より「通夜布教大会」にて。
        私、眞諦が法話一席をさせて頂きます。
        夜通し、親鸞聖人を偲びつつ・・・布教三昧をご聴聞
        しませんか?


☆お知らせ☆

 
   ☆ 11月 7日(金)13:00〜13:30
       銀座三越 屋上にて 布教使、眞諦の法話会があります。
       お時間のある方は是非、お越し下さい。