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弥生(やよい)3月の法話

 信は願より生ずれば 念仏成仏自然(じねん)なり
 自然はすなはち報土なり 証大涅槃うたがはず
                (親鸞聖人著:高僧和讃 82)


皆様、如何お過ごしでしょうか?
春本番になって参りました。
でも、花粉症の方にはお辛い季節の到来ですね。

冬の間、凍てついた寒さの中でじっと時を待っていたかのように、
春の訪れと共に、一斉に命が再生してくるエネルギーには
本当に驚かされます。
飛沫する花粉のパワーは人間にとっては脅威ですが、
自然界の営みの中ではそれは有りのままの姿です。

自然(じねん)とは、もともと「自ずから然(しか)らしむ。」
という意味の仏教用語です。
しかし、英語が日本に入って来た時、「Nature(ネーチャ)」
という単語を「自然」と翻訳した為に、本来の意味を失って
しまいました。

自然の中では、すべての命が繋がっています。
去年、散った花も葉もすべて、今年の新しい命の中に
存在しているのです。
その繋がりの中に無駄なものは何一つ存在しません。
あらゆる命を収め摂っていくハタラキが自然なのです。

命のバトンは、生死を繰り返しながら受け継がれ
毎年、美しい花を咲かせてきました。
そこには怖れも執着もありません。
ただ、自分の番を精一杯、生きているだけです。
花だけでなく、鳥も虫も野生の生き物は皆そうですね。

人間だけが、生死を怖れ、執着しています。
有りのままの現実を、そのまま素直に受け入れる
ことができないのです。
でも、私がどんなに抵抗しようとも、その自然の中に
収め摂られないものは、何一つ存在しません。
その時、お金や名誉など何の役にも立たないのです。

その事に最初に気づかれたのは、お釈迦様です。
彼はすべての執着から離れ、老病死を乗り越えられました。
お釈迦様は自分がこの世に生まれなかったとしても
その真実は厳然と存在していた。と述べられています。

お釈迦様は人間が生死を越える道を、自分の知恵で
考え出したのではありません。
初めから存在していた、あらゆる命を一つも漏らさず
収め取っていくという「自然(じねん)」のハタラキに気づかれた。
つまり、その大きな命の存在を発見されたという事です。

そして、その大きな命に素直に自分を委ねられないのは
人間が煩悩という自己中心的な心を持っているから・・
と気づかれました。
「私」は自分という殻の中からしか、外が見えないのです。

「覚る」「成仏」するという事は、その殻を打ち砕いて
「自然」のハタラキに身を委ね、大きな命に
一つになる事です。

親鸞聖人は「自然すなはち他力なり・・」と述べられました。

阿弥陀如来は、その大きな命に包まれている我が身に
気づかず、自分が勝手に作り出した妄想という殻の中で
悩み苦しんでいる人間の姿をご覧になり「悲しい・・」と
身を引きちぎられるような痛みを感じられたのです。
だからこそ、大悲を起こされたのですね。

「私が如来になった時、わが国に生まれたいと思い、
私の名を呼ぶものは一人残らず仏にする。
もし、一人でも生まれる事ができなければ、
私は如来にならない・・」

他力の信はこの願から出で、私が頂くもの。
この信心が届いた姿が私の口から溢れる「南無阿弥陀仏」
お念仏となって、その御名が出てくださるのです。
だから、往生は自然なり・・・

お名前が届いた、その時、その瞬間、この世で
私の成仏が決まるのです。
人間の知恵を超えた、不可説不可思議な世界。
ただ、そのままを頂けばいいのです。

「自然法爾(じねんほうに)」

咲き誇る花々の輝きに、すべてを自然に委ねて生きる
大きな安心と歓びが溢れています。
一度、足を止めてゆっくり味わってみませんか?




 
 自然・・ありのままの今を精一杯生きる・・・
 その潔さは人間に感動を与えます。



          今月の予定・ご案内


 


   ☆光善寺「仏教講座」   光善寺本堂
     3月21日(日)14:00より

       講師    本願寺派布教使  法善寺衆徒
                東條 香勝 師

             

   ☆築地本願寺「英語法座」   聞法ホール
      3月27日(土)17:30より

       講師    圓立寺衆徒  能美 良也 師
       講題 「阿弥陀さまと私」
  
     Speaker:  Rev. yoshiya noumi,Minister Enryuji Temple
       Thema :   [Amida Buddha and I]


     ☆自殺対策に取り組む僧侶の会「いのちの集い」
      3月25日(木)10:30〜築地本願寺 聞法ホール
        *自死遺族の方に限ります。  無料