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皐月(さつき)5月の法話

十方微塵世界の   念仏の衆生をみそなわし 
摂取して捨てざれば 阿弥陀となづけたてまつる
                 (親鸞聖人著 浄土和讃82)


新緑の美しい季節になりました。
巷はゴールデンウイークで賑わっておりますが、
皆様はどのようにお過ごしでしょうか。

お寺でも、この連休にご家族でお墓参りに来られる方をお迎えします。
日頃、仕事で忙しい若いお父さんやお母さんが小さなお子さんを連れて、
ご参拝されている姿は、とても微笑ましく、家族の絆や命の大切さを
無言のうちに、次の世代に繋げているのだと感動を覚えます。

お寺はきっと、小さなお子さんにとってはとても不思議な空間に感じる
事でしょう。それは、目に見えないものを尊び、手を合わせる場所だからです。
でも、そこには確かに、先立たれた方の温もりが残り、同じ空間・時間を
共有する事ができます。手を合わせる人にだけ味わう事のできる世界です。

先立たれたお祖父さん、お祖母さんの顔を知らない子供たちも、
そこで、今、この「いのち」を繋げてくれた祖父母の存在を知るでしょう。
墓石の横には、仏さまとなられた方々の名前が刻まれていますね。

浄土真宗では、阿弥陀如来の本願力によって念仏の行者は一人も残らず、
命尽きた時、浄土に生まれて仏になると頂いておりますので、
亡くなられた方には「法名」という仏弟子としてのお名前を授与します。
よく、「命日」といいますが、これは、新しく仏さまとしての
命を頂いた日という意味です。けっして命が尽きた日という意味ではありません。
人は生まれた時と、仏として生まれたときに名前を付けてもらいます。

ところで、皆さまの名前はどなたがお付けなりましたか?
私にも2人の子供がおりますが、名前をつけるときは住職と2人で
いろいろと考え、悩みました。
中には字画を調べたり、その時代の流行の名前をわが子につける
方もいらっしゃるかも知れませんね。

明治安田生命が発表した2011年の名前ランキングでは、
男の子は「大翔」くんと「蓮」くん。
女の子は「陽菜」ちゃんと「結愛」ちゃん。だそうです。
これは、東日本大震災で犒襪咾弔”や牋情”を再確認し、
「明るい希望に向かい、力強く羽ばたいてほしい・・」
「人との結びつきを大切にし、愛情に満ち溢れた子に育ってほしい・・」
という親の願いが反映しているとの事でした。

名前にはその命に込められた、多くの願いや祈りが込められているのですね。
皆様の名前には、どんな願いが込められているのでしょうか。



阿弥陀如来はその「南無阿弥陀仏」という六字の名前(名号)に
あらゆる命を一つも漏らさず救いたい・・という願いを込められました。
その大きな慈悲のお心が、名号として私の命に届いた時、
この私の口からお念仏が聴こえて下さるのです。

阿弥陀如来はあらゆる「いのち」をお念仏一つで必ず命尽きた時、
仏にする・・と誓われた仏さまです。
その願いは「本願力」というハタラキをもって
あらゆる命を摂取して、決して捨てる事がありません。
私がどんなに、逃げ惑っても、その手を離すことはないのです。
その慈悲の働きに収め取られたとき、私の口から
「南無阿弥陀仏・・・」そのお名前が出てきてくださいます。
捨てないから、お念仏を称えながらお育て頂くのです。

そのお名前を称えながら、この「いのち」を力強く生き抜きたいものですね。