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卯月(4月)の法話☆

今、西洋文明の中にあり、

見えないものは存在しないような風潮がある。

如来さまは非科学的な存在かもしれない。

でも、今、私の中には如来さまがいる。

とってもやさしいひと。

前からいらっしゃったんだろうけど、気づくことがなかった。

よくよく気付いてみると、とってもやさしいひと。   

こんな私を救うて下さる。」

 

        

         伊藤嘉祐「『太陽とひまわり』より


 

今年も桜の季節となりました。

桜は日本人にとって、心の琴線に触れる特別な花です。

今、艶やかに咲いている桜はもちろん、去年の桜ではありません。

しかし、その「いのち」の輝きの中に、

私達は沢山の記憶を刻んで来たのではないでしょうか。

皆様は、誰と見た、どんな桜が心に残っていますか?

 

5年前の桜の頃、家族ぐるみのお付き合いをしてきた

京都の仏具屋さんが久しぶりにお寺に仕事に来て下さった時の事です。

結婚した時期も、子どもを授かった時期も同じで、

うちは息子が二人で、あちらはお嬢さんが二人、
「どちらかお嫁さんに来てくれたらいいね。」なんて、
お酒を飲みながら、親同士で勝手に盛り上がった事もありました。

 

その彼が、帰り際に突然、「いのちの期限」を告げたのです。

すでに、癌は全身に転移し、手術も不可能との事でした。

余命半年。でも、彼はまるで嘘のように、

穏やかな表情で微笑んでいました。

 

「今、世界は優しさと輝きに満ちている。沢山の人に感謝され、

優しくされて、人生の中でこの半年が一番、穏やかで喜びに満ちていた。

100年生きても、こんな世界を見られないかもしれない。

だから、今、半年という時間をもらって感謝している。」

彼はそう語りました。

 

仏教では『生死一如』と言いますが、自分の命の終わりが見えた時、

阿弥陀如来の大慈悲の世界に出遇った人は、

こんなにも強くなれるのだろうか・・と驚嘆せずにはいられないほど、

彼は光輝く「いのち」を精一杯生き切りました。

 

 彼が最後に言っていたのは、まだ幼い娘たちに父親の生き様を見せる事。

幸せな顔で、満ち足りた顔で、死んでいく・・

 

 その言葉どおり、彼の遺影は門徒総代の式章をして

いつもの人なつこい笑顔で、

幸せに満ちた顔で微笑んでいました。

「伊藤さん、カッコ良すぎるよ・・」

私は思わず呟きました。

 

真実信心を頂いた人は、現生で仏となる身に定まり、

命終えた瞬時に往生即成仏。

あらゆる衆生を救っていく事ができるのです。

 

「花びらは散っても、

花は散らない。

形は滅びても、人は死なぬ。」(金子大栄)

 

今、多くの人が彼の生き様を通して、

仏へと育てられています。

 

          本願寺新報4月10日号「いのちの栞」原文

 

 

 

 

☆備考

 

『太陽とひまわり』をご希望の方は、下記へお問い合わせ下さい。

有限会社 岩田屋 伊藤佛具店  電話075(371)6333

 

製作 自照社出版