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睦月(1月)の法話☆ 平成31年

    とつくにの 旅いまし果て 夕映ゆる 

          ふるさとの空に向ひてかへる

                             皇后陛下御歌

 

平成最後の新年を皆様、如何お迎えでしょうか。

今年は天皇陛下のご退位と皇太子さまの即位を控え、

記憶に残る一年となりそうです。

昭和生まれの私としては、また一世代昔の人間となることに

複雑な思いを抱いておりますが・・

 

さて、今から31年前、ベルリンの壁崩壊と共に始まった

「平成元年」は、バブルの絶頂期で

日本人がパリの有名ブランドの前で行列をするような時代でした。

当時、私は日本航空の国際線客室乗務員として

一月の殆どを海外で過ごしておりました。

上空一万メートルで出遇った数え切れない程沢山のお客様。

その思い出は、「一期一会」の言葉どおり今も私の心に残る宝物です。

 

日本国が政府専用機を保有する前、

天皇陛下や首相が諸外国へ公式訪問する際は

JALの特別便が用意されました。

平成4年、天皇皇后両陛下が戦後初の中国ご訪問をされた時、

私は客室担当として添乗するご縁を頂きました。

 

長い旅程を終え羽田空港に到着する直前、

上空から夕陽に染まった紅色の美しい富士山が見えた事を

今でも鮮明に覚えています。

 

両殿下はお二人で仲むつまじく床に膝をつけて、

小さな飛行機の窓からその光景をご覧になっていらっしゃいました。

本当に、うっとりするほど優雅で美しいお姿でした。

 

大役を無事に果たされて安堵の中でご覧になった日本の空は

両陛下のお心にどのように映ったのでしょうか。

翌年、皇后陛下はその時のお気持ちを歌会始めでお詠みになられました。

 

ところで、当時の私は浄土真宗とのご縁はゼロ。

機内で偶然、乗客だった住職と出遇うのはこれから2年後の事です。

まさか、お寺に嫁ぎ僧侶になるとは…この時、誰に予測ができたでしょうか。

ただ、阿弥陀さまだけが、

「迷いの凡夫を我が国に生まれさせ必ずさとりに導きたい…」と、

この私を喚び続けて下さっていたのです。

 

阿弥陀如来の願いの力によって完成された西方極楽浄土。

生死流転の長い旅を終えて生まれて往く「さとりの世界」が、

今、夕映えの彼方で私達を待っています。 

 

今年もお念仏を称えつつ、強く明るく生きて参りましょう。

 

    

              ガンジス河より夕陽を臨む

 

本願寺新報「いのちの栞」原稿原文まま

*実際の掲載文章は字数の関係で編集者の校正が入ってます。